一般家庭にもある電力量計に、銀色の円盤がくるくる回っているのを見たことがある人は多いはずです。この電力量計の円盤は、実はアルミでできています。本来は磁石に無反応なはずのアルミですが、家庭用の交流電流を使ってアルミ板のすぐ近くで磁場を変化させると、「レンツの法則」にしたがってアルミ板の中に電流が生まれます。この電流と磁場によって生じた力で円盤は回っています。
慶應アルファのポッドは、この円盤が回る原理と同じ仕組みで浮上します。
「ポイントは、”磁場を変化させる”ということです。試作しているプロトタイプのポッドには、4つの磁石を入れた回転体を使っています。この回転体が動くと中に入っている磁石によって作られる磁場も変化するので、アルミでできたレールとの間に反発力を生み出してポッドが浮上します」と、Davidは説明します。さらに理論上は、ポッドがある程度の速度で進めば、回転体を止めても浮上したままになり、低エネルギーで走行させることが可能になるといいます。
「出発時の推進力はリニアモーターを使用する予定です。途中の加速・減速時など、東京-新大阪間でいうと最低3ヶ所ほどの要所にだけリニアモーターによる機構を使えばよいので、リニア新幹線に比べて大幅なコストダウンが見込めます」(David)